タカラトミー・トミカNo.108 日野はしご付消防車 (モリタ・スーパージャイロラダー)
2018年 02月 11日
新車ではないが最近購入したトミカのご紹介。長寿モデルのはしご消防車だ。
この車は日野自動車とモリタのダブルネームで、シャシー部が日野、はしごその他消防装備品がモリタ製のはしご消防車である。子供からすればただの「しょうぼうしゃ」に過ぎないが、人命にかかわる業務に従事する車両だけに単純な説明だけでは片づけられない車両である。今回を機にネットでいろいろ調べてみたが、消防車の世界も実に奥深い。消防車マニアが少なからずいることを改めて認識した。
前述のようにシャシーは日野の製造であるが、正式には「日野・MH」と称され、その開発に当たってはモリタが当初から関わっている。登場は1991年9月、モリタのスーパージャイロラダー搭載専用のシャシーとして誕生した。はしご消防車として採用されるには、不安定なはしごが振られないよう低重心であり、シャシーに安定感があること、厚みのあるはしごを背負うため通れない道が無いよう最低地上高を低くすることは絶対に外せない要素であった。一方でエンジンも強大なものでなければ信頼性を得られず、低床化にあたってエンジンのスペースが犠牲になることも許されなかった。
相反する要求を達成するため各メーカーは、トラックキャブをロールーフ化したものから、トラッククレーンシャシーのオーバーハング部分にトラックキャブを装着したもの、ラフテレーンクレーンシャシーのオーバーハング部分にトラックキャブを装着するなど涙ぐましい努力を行ってきた。そして日野とモリタがたどりついたはしご車専用シャシーというものは画期的な発想であった。日野・MHは登場から今年で27年を迎えるが、未だにはしご車の分野では国内トップのシェアを誇る(ニッチな分野ではあるが)。
製造は日野だが共同開発の扱いのためフロントには日野とモリタの両方のエンブレムが備わる。インパネは専用設計だが、一部日野製トラックからの流用となっている。エンジンはV型8気筒のF17Eを搭載、フロントミッドシップマウントとすることで市販大型トラックキャブでは不可能な低床フロアを実現した。トランスミッションはZF製のATで、乗降ステップはドア開閉に連動した空気圧による展開格納式となっている。 ABSも標準装備され、3軸車には4WSを採用した。登場から7年後の98年にマイナーチェンジが行われ、ライトの形状が若干変更となった。今回のトミカはその時代のモデルを再現している。2003年より二代目が登場し、キープコンセプトながらより精悍な顔つきになっている。この二代目は入手しやすいところだとダイヤペットから1/54スケールで発売中だ。
はしご部はモリタの誇るスーパージャイロラダーで、地上から最高54mとなるはしごは日本で最も高い。放水可能な水路つきはしご、先端屈折式はしご等さまざまなバリエーションがあり、入札を依頼する東京消防庁、各市町村消防組合等のさまざまな需要に対応できる。このトミカは単にはしごが伸縮するモデルを再現しているが正確な高さは不明だ。
スケールは1/139で、Nゲージの情景に置くにはやや大きい。完成度としては全体的に塗装が厚ぼったく、特にリア部分はモールドがほとんど埋まってしまっている。個人的にはフロントの再現よりもリアの再現に力を入れてほしいところであるが、仕方ない。昔の日本製トミカはとてもシャープだった印象があるが、どうも中国製の赤い塗装は厚ぼったくて色が橙に近いので気に入らない。
とはいえ肝心のスタイルのほうははしごを伸ばした姿がなかなかサマになっているので憎めない。緊急車両は比較的息が長いが、安心していると後継モデルが登場すると跡形もなく消え去るので、気になる方は早めの入手をおススメする。10年ほど前に何の気になしに最後期の通常版UDはしご付消防車を入手したが、間もなく廃版となってしまったため今となっては貴重品だ。このトミカもいろいろと書きたいことはあるがまたの機会に。
by gramman
| 2018-02-11 11:40
| ミニカー
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