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高田100万人観桜会2014 陸上自衛隊高田駐屯地市中パレード

高田春の記念行事と言えば、日本三大夜桜にも数えられる高田公園の桜を観る観桜会。と、駐屯地の自衛隊だ。昨年は41年ぶりに観桜会で市中パレードを実施、多くの市民が自衛隊の雄姿を一目見ようと集結し、大好評を博したのであった。季節はめぐり再び春、今年も自衛隊市中パレードが執り行われることになった。

昨年は午後からだったが今年は午前中のうちに実施。混雑を予想して40分ほど前には会場入りしたが、そこかで気にしなくても場所取りは困難ではなかった。



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パレード会場には既に3トン半トラックの荷台に紅白幕を貼った簡易の観閲台が設置されていた。来賓および執行者はまだ会場には到着していない。



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15分ほど前に来賓が人員輸送車2号で到着。5分前に執行者である駐屯地司令が業務車3号に搭乗して観閲台に登壇した。

余談ではあるが人員輸送車2号はマイクロバスである白色の三菱・ローザ、業務車3号は黒い日産・ブルーバードシルフィであった。それぞれナンバープレートも一般車と同じものであるため、知らない人が見れば全く普通のクルマにしか見えない。昨年あたりからブルーバードシルフィをよく見かけるようになったが、これは全国的な現象のようだ。ブルーバードは将補職部隊の副長、師団(旅団)幕僚長・その隷下にある1佐指定の部隊長等に使用される傾向にあるらしい。これもすべては「経費節減」のためだ。

話がそれた。観閲台の両脇に立つ隊員が「捧げ銃」の姿勢をとり、所定の位置につくと行進開始となる。最初は高田・新発田駐屯地合同音楽クラブの入場だ。曲目は高田ではお馴染み行進曲「大空」である。



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音楽隊が入場し所定の位置につく。桜はかなり散り始めてしまっているのが画像でも確認いただけるかと思う。もっとも、満開の土日に自衛隊のパレードをするには規制をかけるのが大変だろう。19日の午前中という桜がひと段落した時期だからこそ、道路を丸々使えるというものだ。



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国旗、市旗、観光用ののぼりが1/2tトラックと登場。それぞれ第309施設中隊所属だったが、特に深い意味はないだろう。この後普通科部隊が進入してくる。



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第2普通科連隊本部管理中隊の1/2tトラックに乗車した連隊本部の幕僚を先頭を行進。



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旭日の隊旗を先頭に第2普通科連隊が進入。「旭日の隊旗」とは1枚目に写る旗で、第2普通科連隊の隊旗である。後続の2つの隊列はおそらく第1中隊と第2中隊だと推測される。所持する火器は中隊長以上が9ミリ機関けん銃、一般曹士は89式小銃だ。普通科所有の5.56ミリ機関銃MINIMI、84ミリ無反動砲等の火器は見られなかった。

徒歩行進はここまで。音楽隊の曲目は「祝典ギャロップ」に代わり、車両行進が開始された。



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車両行進の先頭は第2普通科連隊本部管理中隊の82式指揮通信車。通称82CCVだ。こちらも12.7mm機関銃は搭載していない。昨年のパレードを紹介した地元紙には「装甲車も参加」との記述があったが、昨年参加した装甲車両は82式指揮通信車と後述する軽装甲機動車しかいなかったので、装甲車とはおそらくこれのことだろう。



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続いて近年急速に数を増やしている軽装甲機動車が進入。第2普通科連隊第3中隊所属の車両が全部で5台確認できた。防弾性能は小銃弾程度のものだが、それでも高機動車、あるいは3トン半トラック等の非装甲車両で敵弾下に展開することに比べれば、まさに普通科待望の装備と言える。

ルーフにはサークル状に蓋が付いており、隊員1名が車外に身を乗り出すことが出来る。5.56ミリ機関銃MINIMIを据え付けることが出来(第1空挺団では12.7mmM2を搭載したものもあった)、01式対戦車誘導弾を発射することも可能だ。こちらも全車ルーフ上のミニミは取り外されていた。第2普通科連隊には昨年ごろから配備が始まっている。



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続いて施設部隊が進入。第5施設群本部管理中隊と第353施設中隊の1/2tトラックには施設部隊の指揮官が搭乗。エンジ色の隊は第5施設群の隊旗である。

今回車両行進に参加した施設隊員は今回災害派遣用と思われる作業服を着用(背中に「陸上自衛隊」の白文字が入り、肩からロープを下げる)し、それぞれの車両には「災害派遣」のプレートを掲げていた。これは去年には見られなかったことだ。



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続いて1トン半トラックをベースにした救急車、通称「アンビ」が進入。高機動車の足回りを採用した新型の1トン半がベースと思われる。救急車と言っても担架を収めるスペースがあるだけのきわめて簡素な造りなので、この中での直接的な医療支援は期待できない。



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この後3トン半が3台続いた。それぞれ異なるトレーラをけん引しており、最初は第308施設中隊の3トン半と渡河ボートだ。渡河ボートはFRPの船体を持った陸自では最もベーシックなボートで、2艘一対で運用するのが基本。トレーラには2艘、すなわち一対ぶん搭載されていた。

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次が第309施設中隊の3トン半と野外炊具1号である。野外炊具は災害派遣でもおなじみの移動式の調理設備であり、炊く、煮る、焼く、揚げることができる装備だ。炊く場合の最大能力は1両で600名分、煮るだけなら1800名分をまかなえる。過去には高田駐屯地開放で豚汁がふるまわれることがあったが、残念ながら最近では行われていない。

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最後が第310施設中隊の3トン半と1トン水タンクトレーラである。こちらも災害派遣時の給水支援で活躍する。

この3台の新型3トン半はエンジンが変更され若干キャブの高さが上がった24年度以降納入の最新型である(正式にはSKW-477の型番となるが)。フロントライトグリルとキャブの間にスペーサーのごとくプレートが入っているため17年度の新型3トン半導入時の車両とは顔つきが異なる点にも着目してほしい。



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次がいかにも施設科らしい装備、81式自走架柱橋だ。1両で10mの橋を展開することができ、6セットをつなげることで最大60mの橋を構築できる。開発当時は全ての陸自車両が通行させることが出来る性能を有していた(橋の性能が低下したということではなく、90式戦車、99式155ミリ自走りゅう弾砲など重量のかさむ装備が登場したという意味だ)。

正面装備ということで迷彩塗装が施されており、ベースとなっているのはふそうザ・グレートだ。さすがに古臭さが否めなくなってきたが、自走架柱橋そのものも19年度から損耗更新時期を迎えており、順次07式機動支援橋への更新が進んでいるようだ。旧型の1/2tトラックが最近まで使われていたことを考えると、高田で更新が完了するのはいつのことになろうか。



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続いて進入してきたのが第102施設直接支援大隊第2直接支援中隊所属の3トン半トラックの有蓋車。長い隊名ではあるが、朝霞駐屯地の東部方面後方支援隊のうち、第102施設直接支援大隊が古賀駐屯地に所属、さらにそのうち第2直接支援中隊が高田に駐屯している形らしい。

3トン半でもこれは有蓋車と呼ばれ、整備のための工具・機材や各種装備などを格納したシェルター、要するに箱を搭載した車両だ。シェルターを固定するためのワイヤー用の留具がアオリについており、荷台前部に鳥居もないため、これは幌を張ることはなくシェルターを載せて運用するもののようだ。先述の3トン半とも比較してほしいが、これはエンジンが変更になる前のSKW-476型だ。16年の道路交通法改正に合わせてルーフの速度表示灯が省略されている。ちなみに最初に掲載してある、観閲台として使われた3トン半はまだ速度表示灯を備えた新型の中の初期型であり、SKW-475だ。紅白幕に隠れている部分もあるが、3期にわたる変更を見比べてほしい。



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車両行進の最後は第12後方支援隊第2整備中隊第1普通科直接支援小隊所属の重レッカだ。これまた長い隊名だが新町駐屯地所在の第12後方支援隊のうち第2整備中隊が相馬原駐屯地に所在、そのうちの第1普通科直接支援小隊が高田駐屯地に所在というわけだ。

この重レッカはふそう・スーパーグレートをベースにしており、総輪駆動とすることで車高が上がっているのが見た目でわかる。最大吊上能力は10tであり、戦車の砲塔を吊り上げることもできる。戦車、装甲車等重量級の装備には対応できないが、高機動車以上の重量の車両をけん引するには必須の装備だ。災害派遣でもその能力をいかんなく発揮する。3トン半トラックをベースにした軽レッカもあるが、そちらは4.8tまでしか吊上能力がない。



重レッカが通り過ぎると音楽隊が退場して執行者が降壇、パレードは終了となった。人の入りはまずまず、昨年より少し少ない印象だ。何より天気に恵まれたのはありがたい限りだ。



この市中パレードを巡っては昨年の開催後からきな臭いにおいが漂っており、労働組合等からの抗議が相次ぐ中での開催となった。車両から全て銃器を取り外したり、施設隊に「災害派遣」の色を濃くさせたのも少しでも事を荒立てないようにする自衛隊側の努力だったのだ。自衛隊とそれらの団体の関係については何も言わないが、高田駐屯地と上越市民の関係が末永く良好に続くことを願ってやまない。
Commented by 通りすがりの元技官 at 2017-08-19 16:04 x
お邪魔します。

業務車3号がクラウンセダンからブルーバードに変わった一番の理由は「クラウンセダンのガソリン車製造終了」です。
クラウンセダンのガソリン車が製造終了したため、2008年度入札分から車両スペックが緩和されました。
以前はクラウンセダンのスペック(車内装備)を入札条件にしていましたが、現在はプレミオ・ブルーバードの条件に合わせています。
車内の有効長・室内長をプレミオのサイズにダウンした事と、ブルーバードのリアシートの改善により、プレミオやブルーバードでもメーカー側も応札出来る事になった事が一番の要因です。

車種の統廃合による官用車の整理も行われており、以前は全ての部隊長車がクラウンまたはセドリックのみでしたが、クラウンが配当されているのは事実上将官以上で、それ以外は5ナンバーサイズのセダンになっていていますね。
足元の広さと乗り心地はクラウンセダンの方が良かった(車種が元々タクシーや会社の重役送迎向け)のですが、製造終了もあり一般大衆(壮年世代)が使用するプレミオやブルーバードに変わったのも、時代の流れかもしれませんね。
お邪魔しました。
Commented by gramman at 2017-08-26 15:37
> 通りすがりの元技官さん
コメントありがとうございます。非常に分かりやすく、また関係者とお見受けするほとんど他では聞かないような詳しい内容で大変勉強になりました。
by gramman | 2014-04-19 20:13 | ミリタリー | Trackback | Comments(2)

クルマと模型バカによる終わりなき妄言の全記録


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