アオシマ・陸上自衛隊 73式特大型セミトレーラー"74式戦車付属"
2015年 01月 07日
新年最初の模型製作はアオシマ1/72スケールの73式特大型セミトレーラだ。73式特大型セミトレーラは陸上自衛隊の有する輸送車両で、他国では「タンクトランスポーター」などと呼ばれる主として戦車輸送に供される車両である。読みは「とくだいがた」ではなく「とくおおがた」なので注意が必要だ。
トラクタ部は全て三菱製の6×6の総輪駆動車、トレーラ部は東急車輛製の3軸低床トレーラである。トラクタ、トレーラ共に民生品を流用しており、ベース車両がモデルチェンジすると納入させる装備も若干仕様変更される。
全長11.32m、全幅:3.29m、全高:3.15m、トラクタとトレーラを合わせた自重は17,820kg、最大積載量は40,000kgとかなり大型の車両だ。牽引時の最高速度は60km/hとされるが、総重量が最大で57tにもなる車体を60km/hで走らせるのは果たして現実的なのだろうかと疑問に思ってしまう。
最大積載量が40tであるため74式戦車以下すべての装備が積載可能であるが、唯一90式戦車は重量が50tとかさばるため、車体部と砲塔部を2台の特大型セミトレーラで運搬する、あるいは一体で輸送できる専用の特大型運搬車を使用する。これにより90式戦車の配備される方面隊の輸送隊には特大型運搬車が少数配備されているが、自重はさらに約3t重く、トレーラは4軸となっており只者ではないオーラが漂う。
10式戦車は重量が約44tで最大積載量からオーバーしてしまうが、各地で73式セミトレーラに積載される光景が目撃されており、4t分軽量化して積載していると推察される。ちなみに施設隊の重機や軽量の装甲車等の輸送には最大積載量20000kgの中型セミトレーラが供され、これは特殊車両の制限を定めた車両制限令の範囲内なので日中でも輸送が可能だ。73式セミトレーラは全幅、総重量などの点で車両制限令で規制される。
少し脱線したが、そんな後方支援の車両をアオシマが立体化。今回はSP仕様としてピットロードの同スケール74式戦車が付属する。メーカーの垣根を越えてタッグを組んだ形だ。
積載状態ではこうなる。1/72スケールでも全長が約240mmとかなり長大なキットになる。既にリリースされている航空自衛隊PAC-3よりも長い。
全体の塗装はタミヤアクリルカラーXF-74 OD色(陸上自衛隊)で筆塗り。同スケールの陸自3トン半トラックと同じだ。シャシー部は本来はツヤありの黒だが、小スケールでは浮いて見えるのでセミグロスブラックとした。基本的な塗装、組み上げ共に何の問題もなく実に順調に進んだ。
所属はデフォルトで付属する第301輸送隊とした。これは朝霞駐屯地に所在する東部方面輸送隊隷下の部隊で、第1師団、第12旅団隷下の各輸送隊等で対処できない任務への支援を実施する部隊だ。平たく言えば東部方面隊における輸送のエキスパートというわけだ。例によって各部隊を再現できる細かなデカールも付属するので思い入れのある部隊もお手軽に再現できる。
トラクタ部は塗装が違うだけで基本的にPAC-3牽引機と同じだ。キャブチルト機構もある。唯一の違いはキャビン上部に設置された青色の灯火だ。前述の通りこの車両は車両制限令に抵触してしまうため、走行時は青色の灯火を点灯させて先導車を随伴させる必要があり、青色の灯火を装備することが法令上必須となっているためだ。灯火はキャビンに直付けではなく専用のステーを介して据え置かれている。灯火用のクリアーパーツが用意されるのが細やかな配慮だ。
キャビン内部は本来細かな塗り分けが指定されているが、手を抜いてセミグロスブラックで塗装してしまった。完成後もそれほど違和感はないので良しとしよう。
トレーラ部のグースネックには幕が張られているが、これはキットでは再現されていないのでキットの包装ビニールを貼った。他の作例ではティッシュペーパーに木工用ボンドをしみこませたお馴染みの方法がとられているものもあったが、厚みが増す上なにより面倒なのでビニールを切って貼っただけのお手軽な方法を採用した。接着と塗装には気を遣うが材料なら山ほどあり、いくらでもやり直しが効く点ではいい方法だったと言えよう。更に凝る人は内部に収められた輪止めなどを再現するのも良い。
トレーラ部は前述のように民生品を流用しているため、納入時期によってテールライトが丸型のものもあり、車体側面など詳細が異なる個体が様々存在している。今回再現されている角テールのものは比較的新しい。
車両が積載される面の両端には白線が引かれている。先に白を塗ったうえでマスキングしてOD色に塗るという方法をとったが、これが正解だったようだ。個体によっては中央部にも白線が引かれているものがあるので、腕に覚えのある方は挑戦してみよう。今回は腕に覚えがなかったので挑戦しなかった。
積載用のローディングランプも再現されている。使用しない場合は中央部に並べて置くというのが定番のようだ。ちなみに積載時には戦車の車底部に敷く台枠のようなものを使用する。いうなれば「木」なのだが、それを再現してみるのも面白いだろう。74式と10式ではその枠の形状も異なる。
今回「荷物」としてセットされたピットロード製74式戦車であるが、なかなかに泣かされるキットであった。ランナーのゲート部が太い割に繊細なパーツが多く、アオシマの最新キットを組んだ後ではなおさらに手間に感じてしまった。細かいパーツが再現されている甲斐もあって仕上がりはそれなりに繊細になる。最後の最後、ゴム製履帯の取り扱いにも泣かされたが・・・。
これまでの画像では砲塔を真後ろに回した形で積載していたが、長距離の輸送時はこの位置で車体後部のトラベリングロックを用いて固定するのが正解だ。しかし残念ながらキットではトラベリングロックがモールドされているだけなので、再現にはパーツの自作が必要になる。本来長距離の輸送時はトラベリングロックで砲身を固定の上、トレーラ部と車体をチェーンロックを用いてガッチリ固定するのでこれも腕に覚えのある方は挑戦してみよう。駐屯地から演習場への移動などのごく短距離では作例のような形での輸送もありうるので間違いではない、と自己弁護しておこう。
積載の様子を妄想するのも手軽にできる。ただ実際はトレーラに乗り上げる前に74式の車高を最大高にした上で進入、中央で停止して車高を最低高にするというのが正解だ。しかし模型で姿勢制御を再現するのは大変なので我慢する。
実際の積載の様子を貼っておくので時間のある方は勉強してみよう。
ちなみにこの73式特大型セミトレーラ、それほど目にする機会の多くない装備である。何せ戦車の輸送そのものがそれほど機会のないことであるがゆえに仕方ないのだが、偶然目にすることが出来れば有難く観覧させてもらおう。これから春にかけて駐屯地祭の増える時期になれば、普段よりは見かける機会が増えるかもしれない。
トラクタ部は全て三菱製の6×6の総輪駆動車、トレーラ部は東急車輛製の3軸低床トレーラである。トラクタ、トレーラ共に民生品を流用しており、ベース車両がモデルチェンジすると納入させる装備も若干仕様変更される。
全長11.32m、全幅:3.29m、全高:3.15m、トラクタとトレーラを合わせた自重は17,820kg、最大積載量は40,000kgとかなり大型の車両だ。牽引時の最高速度は60km/hとされるが、総重量が最大で57tにもなる車体を60km/hで走らせるのは果たして現実的なのだろうかと疑問に思ってしまう。
最大積載量が40tであるため74式戦車以下すべての装備が積載可能であるが、唯一90式戦車は重量が50tとかさばるため、車体部と砲塔部を2台の特大型セミトレーラで運搬する、あるいは一体で輸送できる専用の特大型運搬車を使用する。これにより90式戦車の配備される方面隊の輸送隊には特大型運搬車が少数配備されているが、自重はさらに約3t重く、トレーラは4軸となっており只者ではないオーラが漂う。
10式戦車は重量が約44tで最大積載量からオーバーしてしまうが、各地で73式セミトレーラに積載される光景が目撃されており、4t分軽量化して積載していると推察される。ちなみに施設隊の重機や軽量の装甲車等の輸送には最大積載量20000kgの中型セミトレーラが供され、これは特殊車両の制限を定めた車両制限令の範囲内なので日中でも輸送が可能だ。73式セミトレーラは全幅、総重量などの点で車両制限令で規制される。
少し脱線したが、そんな後方支援の車両をアオシマが立体化。今回はSP仕様としてピットロードの同スケール74式戦車が付属する。メーカーの垣根を越えてタッグを組んだ形だ。
積載状態ではこうなる。1/72スケールでも全長が約240mmとかなり長大なキットになる。既にリリースされている航空自衛隊PAC-3よりも長い。
全体の塗装はタミヤアクリルカラーXF-74 OD色(陸上自衛隊)で筆塗り。同スケールの陸自3トン半トラックと同じだ。シャシー部は本来はツヤありの黒だが、小スケールでは浮いて見えるのでセミグロスブラックとした。基本的な塗装、組み上げ共に何の問題もなく実に順調に進んだ。
所属はデフォルトで付属する第301輸送隊とした。これは朝霞駐屯地に所在する東部方面輸送隊隷下の部隊で、第1師団、第12旅団隷下の各輸送隊等で対処できない任務への支援を実施する部隊だ。平たく言えば東部方面隊における輸送のエキスパートというわけだ。例によって各部隊を再現できる細かなデカールも付属するので思い入れのある部隊もお手軽に再現できる。
トラクタ部は塗装が違うだけで基本的にPAC-3牽引機と同じだ。キャブチルト機構もある。唯一の違いはキャビン上部に設置された青色の灯火だ。前述の通りこの車両は車両制限令に抵触してしまうため、走行時は青色の灯火を点灯させて先導車を随伴させる必要があり、青色の灯火を装備することが法令上必須となっているためだ。灯火はキャビンに直付けではなく専用のステーを介して据え置かれている。灯火用のクリアーパーツが用意されるのが細やかな配慮だ。
キャビン内部は本来細かな塗り分けが指定されているが、手を抜いてセミグロスブラックで塗装してしまった。完成後もそれほど違和感はないので良しとしよう。
トレーラ部のグースネックには幕が張られているが、これはキットでは再現されていないのでキットの包装ビニールを貼った。他の作例ではティッシュペーパーに木工用ボンドをしみこませたお馴染みの方法がとられているものもあったが、厚みが増す上なにより面倒なのでビニールを切って貼っただけのお手軽な方法を採用した。接着と塗装には気を遣うが材料なら山ほどあり、いくらでもやり直しが効く点ではいい方法だったと言えよう。更に凝る人は内部に収められた輪止めなどを再現するのも良い。
トレーラ部は前述のように民生品を流用しているため、納入時期によってテールライトが丸型のものもあり、車体側面など詳細が異なる個体が様々存在している。今回再現されている角テールのものは比較的新しい。
車両が積載される面の両端には白線が引かれている。先に白を塗ったうえでマスキングしてOD色に塗るという方法をとったが、これが正解だったようだ。個体によっては中央部にも白線が引かれているものがあるので、腕に覚えのある方は挑戦してみよう。今回は腕に覚えがなかったので挑戦しなかった。
積載用のローディングランプも再現されている。使用しない場合は中央部に並べて置くというのが定番のようだ。ちなみに積載時には戦車の車底部に敷く台枠のようなものを使用する。いうなれば「木」なのだが、それを再現してみるのも面白いだろう。74式と10式ではその枠の形状も異なる。
今回「荷物」としてセットされたピットロード製74式戦車であるが、なかなかに泣かされるキットであった。ランナーのゲート部が太い割に繊細なパーツが多く、アオシマの最新キットを組んだ後ではなおさらに手間に感じてしまった。細かいパーツが再現されている甲斐もあって仕上がりはそれなりに繊細になる。最後の最後、ゴム製履帯の取り扱いにも泣かされたが・・・。
これまでの画像では砲塔を真後ろに回した形で積載していたが、長距離の輸送時はこの位置で車体後部のトラベリングロックを用いて固定するのが正解だ。しかし残念ながらキットではトラベリングロックがモールドされているだけなので、再現にはパーツの自作が必要になる。本来長距離の輸送時はトラベリングロックで砲身を固定の上、トレーラ部と車体をチェーンロックを用いてガッチリ固定するのでこれも腕に覚えのある方は挑戦してみよう。駐屯地から演習場への移動などのごく短距離では作例のような形での輸送もありうるので間違いではない、と自己弁護しておこう。
積載の様子を妄想するのも手軽にできる。ただ実際はトレーラに乗り上げる前に74式の車高を最大高にした上で進入、中央で停止して車高を最低高にするというのが正解だ。しかし模型で姿勢制御を再現するのは大変なので我慢する。
実際の積載の様子を貼っておくので時間のある方は勉強してみよう。
ちなみにこの73式特大型セミトレーラ、それほど目にする機会の多くない装備である。何せ戦車の輸送そのものがそれほど機会のないことであるがゆえに仕方ないのだが、偶然目にすることが出来れば有難く観覧させてもらおう。これから春にかけて駐屯地祭の増える時期になれば、普段よりは見かける機会が増えるかもしれない。
by gramman
| 2015-01-07 11:07
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