タカラトミー・トミカNo.30 日野レンジャー 重機搬送車
2018年 04月 16日
この重機搬送車は東日本大震災の教訓を契機に導入された装備である。東日本大震災当時、消防は大規模な救助部隊を派遣したが、現地での救助活動では大量の泥や瓦礫に阻まれ思うように救助が進まない経緯があった。これを受け、総務省消防庁は全国に救助資材を配備した。その一環としてこの資材が導入されることになったのである。全国の地方自治体はいつどこで起こるか分からない災害に対して備える必要があるのはわかってはいるが、限られた予算内では既存の耐用年数を過ぎた設備の更新と、点検整備で手一杯で救助の資機材を買うことが出来ない切実な事情があり、国が全国に配置することになったのであろう。同じような背景で総務省消防庁が配備した装備にレッドサラマンダーと拠点機能形成車がある。
そのような背景で配備の始まったの重機搬送車には2種類あり、小松製3tショベルを搭載した4×2駆動の日野レンジャーのものと、小松製5tショベルを搭載した6×2駆動の日野レンジャーのものがある。ショベルに装着するアタッチメント(油圧旋回フォーク、油圧ブレーカー、油圧切断機)と、作業機(ユニッククレーン)を装備している点は共通である。クレーンは救助活動のほか、荷台に搭載した資機材の積み下ろしにも活用される。トミカでは荷台はショベルでいっぱいいっぱいだが、実車は荷台前部分にアタッチメントが載せられる。
今回のトミカは3軸なので5t搭載のタイプをモデルとしているようだ。ちなみに今回は日野レンジャーをベースにしたものしか資料が見つからなかったが、導入年度の新しいものを見ると三菱ファイターの重機搬送車も確認出来たので、日野との専属契約というわけでもなさそうだ。さらに余談ではあるが、東京消防庁には都が自前で装備した三菱スーパーグレートがベースの4軸重機搬送車が配備され、搭載される重機もさらに大型のものである。
このモデルでは荷台部分のスロープが可動し、ショベルの積み下ろしができる。実物では荷台がスライドしてさらにスロープを使って重機を積み下ろしするが、その動きはさすがにトミカではコスト的にも耐久性的にも再現はできなかったようだ。ちなみにクレーンは可動しない。
小松製5tショベルを模したユンボ。旋回機能は再現されていないが、アーム部分の上下は可能可能となっている。窓部分は透明でなくモールドで再現されるだけだ。荷台部分から下ろすときに驚いたのがやたら前後の動きがスムーズだった点で、裏返すと履帯部分に車輪が仕込まれていたことだ。これはアイデアもので、ショベルだけで遊ぶときも子供は大満足だろう。何のギミックもない緑色のブルドーザーが載っていた日野ドルフィンがベースの昔のトミカに比べると、隔世の感がある。
今回のトミカもやはり総合点でかなりの優秀作で、入手をおすすめしたい。
by gramman
| 2018-04-16 10:19
| ミニカー
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