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ファインモールド・陸上自衛隊 73式小型トラック(MAT装備)

久しぶりに完成させたプラモデルは、ファインモールドの64式対戦車誘導弾を装備した73式小型トラックだ。



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造形に定評のある、ファインモールドの旧型の73式小型トラックをベースに、64式対戦車誘導弾を搭載した姿を再現したのが今回のキットである。以前に同じくファインモールドの106mm無反動砲を搭載したモデルも製作したが、基本的な部分はほぼ同じで武装の搭載が異なっている。

64式対戦車誘導弾は文字通り1964年に制式化された国産初の対戦車ミサイルである。通称はMAT(Missile Anti Tank)。開発は航空機に造詣がある川崎重工業が行った。システムは誘導弾本体、運搬用コンテナ兼発射台と、変圧器等を内蔵した射撃装置からなる。誘導方式は手動指令照準線一致誘導方式で、ミサイルと射撃装置はケーブルで結ばれており、ミサイル後部の発光灯を目印に射手がジョイスティックによる操作を行なう方式であった。複雑なレーダー装備を必要としないため73式小型トラック(配備当時は1/4tトラック、開発当初はトラックのけん引トレーラに積載)1台で全て運用可能なコンパクトなものであった。射手が目視で目標まで誘導させるため、飛翔速度は85m/sと決して速くは無かったが有効射程は1800m程度とされ、隊員の練度次第では目視できない目標に命中させることも理論上可能であった。

当時世界ではこの誘導方式が主流であり、他国の装備と比しても遜色ない性能を有していたが、いかんせん発射時に大量の噴煙を発生させるため発射地点を敵に特定されやすく、また目標に命中するまで誘導を続ける必要があり、敵に発見、反撃された場合の生存性も問題であった。後継装備となる79式対舟艇対戦車誘導弾が制式化されると徐々に調達数は減少していき、その後87式対戦車誘導弾、01式軽対戦車誘導弾とさらなる新装備が登場し、64式は1990年代にひっそりと生産を終了、2010年頃にはすべて退役したとみられ、今では全国どこの部隊へ行っても現役を姿を見ることはできない。



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上の画像が移動時、下の画像が発射時の様子である。キットでもミサイル発射機は可動で再現される。キットではミサイルが装填状態で再現される。ミサイルの青帯は訓練弾を表している。前述のように部隊内での略称は「MAT」であるが、ミサイル発射機の側面には「ATM」と表記される。本来対戦車誘導弾は「Anti Tank Missile」と訳されるべきであるが「アトム」つまり核兵器を連想させるため「マット」になった、というのは有名な話である。当時の日本は自衛隊の法的立場も確立されず、日米安全保障条約のあり方を巡って揺れており、外部で使われることのない軍事用語にまで気を遣わなければならなかったのは、まだまだ自衛隊という組織が日陰者であったことを如実に示すエピソードである。



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例によって車体の塗装はタミヤの自衛隊OD色でスプレー塗装、シャシーは黒いサフェーサー1500のスプレー塗装で仕上げた。本来シート部分もOD色ではなく濃いグレーに塗るよう指示されているが、実車を見るとオリーブ系統の色に見えたので、OD色のままとしておいた。

所属部隊は付属のデカールで富士学校、空挺団とともに選べる群馬県新町駐屯地の第12対戦車隊とした。第12対戦車隊の車両は以前の駐屯地祭で見かけた記憶があり(と言っても20年近く前だが)、思い入れもあるのでこの部隊にさせてもらった。64式対戦車誘導弾を自分で撮った写真もあるはずなので、またの機会に探してみようと思っている。



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最後に少し解説。助手席に置いてあるのが目標を評定する双眼鏡で、これを見ながら後部座席にある射撃装置でミサイルを操作することとなる。双眼鏡は助手席で使うのではなく、実際は地面に下して三脚を開いて使う。助手席には三脚を閉じて収納する輪っかがついている。射撃時は乗員は車外に対比していたものと思われる。乗車状態で射撃すると真横を通るので、ミサイルの発射炎がさぞかし怖いことだろう。余談だが射手になるには相当の訓練が必要だったようで、嘘みたいな話だが当時の64式の配備先にはミサイルの操縦に慣れるため練習用のカーラジコンがあったそうである。

by gramman | 2019-01-14 22:56 | 模型 | Trackback | Comments(0)

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